タクシードライバーのみなさんのクチコミ

「我慢して出稼ぎ」から「この仕事自分に向いているかもしれない」へ

高校を卒業して以来数回勤め先は変わりましたが、ずっと調理の仕事を長年にわたり続けてきたのです。

48歳の時に勤め先のお店が経営破綻した時にも、また調理の仕事に就くつもりでいたのですが、年齢や希望している給与との折り合いなどでなかなか再就職先が決まらず、かと言って娘が中学2年生になっていて、これから色々とお金がかかるため就職活動に専念するというわけにもいきません。

生活費くらいは稼がなければならないため、警備員のアルバイトをしながら見通しのたたない就職活動を続けているという状態だったのです。

調理の仕事を探すことは諦めたくない、でも警備員のアルバイト程度の収入でしばらくやっていくという事は、先のことを考えるとあり得ない。

この現状を打破するためたどり着いたのは、調理の仕事を探すことは長期戦にして、それなりの収入を得る事が出来て、景気が良くなり調理の仕事が見つかり次第そちらに移る事ができるような自由度が高い仕事を探すというものだったのです。

このような考え方をしたのは、農業をしていて出稼ぎでタクシー運転手をしいている友人の話を聞いていたからなのかもしれませんが、私の中ではもうタクシー運転手しかないと決まっていたのです。

カミさんは地元での就職活動を最優先にして、調理の仕事にこだわらなくても良いのではないか、そうすれば割とすぐに再就職先がみつかるかもしれないし、その期間は収入が少なくてもかまわないという事でしたが、何とか説得してタクシー運転手の道へ進んだのです。

友人の紹介で同じタクシー会社に雇ってもらうことができたのですが、地理試験合格と二種免許取得という関門をクリアしなくてはなりません。試験というものから長いこと遠ざかっていましたから不安がありましたが共に問題なくすんなりと合格する事ができたのです。

初日はベテランさんと2人で組んで指導してもらい、二日目の乗務からプロドライバーとしてデビューします。

私は元来友達を笑わせるタイプで人と喋ることは好きなのですが、仕事に慣れないうちはお客様との会話を楽しむ余裕などもちろんなく、いっぱいいっぱいだったのですが、仕事に慣れて余裕が出てくると次第にお客様との会話が楽しいものとなってきたのです。時にはお客様との会話がかなり弾む事もありそのような日はたとえ売り上げが少なくても充実した気持ちになれるのです。

一度カミさんと娘を呼んで東京案内をしましたが、カミさんいわく、流行りの場所とか美味しいお店ではなくもっと家族で落ち着いて話せるようなところがいいと私の東京案内はイマイチなようで、娘も思春期ですから喜んでいるのやらいないのやらで、惨敗してしまいましたが独身寮の狭い部屋で三人でコタツに入りながら久しぶりに親子3人で他愛のない話が出来た事がなによりの出来事だったように思います。

人間交差点のようなタクシーの仕事は味わいのあるものだと思います。色んな仕事をしている人がいて色んなタイプの人がいるんだなあと厨房にこもって仕事をしていた私にとっては軽いカルチャーショックのようなものがあったのです。

正直言って今はこの仕事にやりがいを感じています。カミさんは家族三人で暮らせる期間はそんなに長くないんだから、なるべく早めに地元での就職先を見つけて欲しいと言っていますが、娘だって父親なんていない方がのびのびできていいんじゃないかと思いますし、いたとしたってお互いそんなにコミュニケーション取ろうとはしないし、今の形はベストではないがベターなのではないかと感じています。

調理の仕事よりもこの仕事の方が自分に向いているんじゃないかと最近思い始めています。

仕事を始めた頃は無駄にお金を使いたくないので、休みの日でもどこにも出かけることはなく休日は退屈でしたが、暮らし慣れてくるとお金をかけない休日の楽しい過ごし方も少しずつわかってきて休日が退屈という事もなくなったのです。一人暮らしなどしたことがなかったのでその新鮮さもいまだにあり、出稼ぎ生活は充実しています。

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