タクシードライバーのみなさんのクチコミ

受験を支えてくれたタクシーの運転手さん

私が初めてタクシーを利用したのは、大学受験の時でした。 それは当時高校3年生の2月の事で、美大受験に挑戦している最中でした。

私は関東在住で、移動は自転車か徒歩、それかバスがほとんどでした。 その時は丁度受験シーズン真っ只中で、連日どこかしらの大学に向かい、絵を描いたりテストをしたり、高校にいったり予備校にいったりという生活をしていました。 美大受験というのは、画材は持ち込みでした。 ですので、試験がある度に荷物を受験校まで運んでいました。 その荷物というのは、絵を描く紙の下敷きにするための板(身体の半分ほどのサイズがある)や、何十本もの筆や絵具チューブ、そして様々な絵をかくときに必要な液体や、粉の入った袋などです。 これらすべてを持っていくため、キャリーケースと、リュックサックと大きなカバンをもう一つを使っていて、大荷物でした。 加えて実家に運転できる人はいなかったので、持ち運びには苦労していました。

ある日、志望校に行って試験で絵を描き、地元に戻ってきたときのことです。 その日は雪が降っていて、路面には降り積もった雪が歩くのを困難にさせていました。 とても自転車は使えず、家までは歩くと30分以上かかる上に両手の大荷物…、ですのでどうしたものかと考えていました。 またよく使っているバスも、帰りの時間が遅くなったために終バスはとっくに終わっていました。 親に連絡すると、雪道は滑って危ないから、タクシーを使うようにと言われました。

この日、生まれて初めて1人でタクシーに乗ることになりました。 親と乗る事はあっても一人で、という経験はなかったので、今まで親がどうしていたか、など懸命に思い出していました。 また、持ち合わせが足りない可能性があったので、家に着いたとき親と待ち合わせして、代金を払ってもらうことになっていたので、その説明もちゃんとできるか、受け入れて貰えるのか当時はとても心配でしかたありませんでした。

1人で緊張しながら向かうと、タクシーの運転手のおじさんがドアを開けて、「荷物多いね、トランク開けてあげようか?それか、後ろの座席に置いていいよ」と親切に話しかけてくれました。 道の説明も不慣れでしたが、ちゃんと言いたい事を汲み取ってくれて、さすがプロだなと感動したことを覚えています。 また、家に着いたとき待ち合わせている親にお金を払ってもらうことに関しても、快くOKしてもらえました。 とりあえず家に帰る事ができそうで、安心したのを覚えています。

荷物は取り出しやすい後部座席に置いて、助手席に座りました。 あまり車に慣れていなかったのでトランクを使いませんでしたが、荷物を入れる時も「大丈夫?」と気遣いながら待ってくださいました。

乗っている最中は、家に着くまで運転手さんは受験の話を聞いてくれました。 どんな絵を描くの、とか、どんな風勉強しているのか、とかそんなことを話していました。 運転手さんの家族が受験をした時の話を聞いたりもして、とても為になったことを覚えています。 朝からずっと試験で緊張していたので、ほっとする時間になりました。 最後には、「忘れ物はない?受験頑張ってね」と言って、笑顔で見送ってくれました。

その年、受験は無事合格しました。 タクシーでの出来事はとても良い思い出になりました。 タクシーの運転手さんには、私の受験を支えてもらっていたと言っても過言ではありません。 とても感謝しております。

その後も1人でタクシーを使うことが何度かありましたが、いつも気持ちのいい接客をしていただいております。 高校生の自分でも、一人でタクシーを使えたこと、親切にしてもらえたことは、引っ込み思案な私の自信にもつながりました。 おじさんは元気にしてるかな。あの時は有難うございました。

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